盆栽から受け取るメッセージが、悩みを吹き飛ばしてくれる

「それにね、盆栽を見ていると“そんな小さいことでくよくよしてるんじゃないぞ”って、言われている気がして、悩みなんか吹き飛んじゃうんですよ。僕にとって盆栽はかけがえのないもの。少しでも恩返ししたくて『盆栽美術館(仮)』を設立することにしました。  盆栽をご覧いただくのはもちろん、茶室やワークショップ、アーティストさんとのコラボレーションなど、いろいろな形で、盆栽の素晴らしさを身近に感じていただけるものにしたいですね。
 小布施の街は、葛飾北斎が愛した街として知られていて、文化の薫りが漂っています。そうした小布施の魅力も一緒に発信しながら、街と盆栽に少しでも貢献できたらなと思っているんです。ただ、口下手なのでこうやってお話するのは、いつになっても慣れそうにないんですけど(笑)」

 インタビューの最後まで優しい笑顔を携えながら、ブレることのない盆栽愛と夢を語り続けてくれた鈴木さん。心癒やされるとして、国内外の幅広い世代に受け入れられ始めた盆栽の魅力を広く伝えるという鈴木さんの大きな旅は、まだ始まったばかりのようだ。

鈴木伸二(すずき・しんじ)
盆栽作家。1962年12月27日生まれ、長野県出身。趣味は、盆栽美術品と美術館鑑賞、映画鑑賞。サムスン電子盆栽技術顧問、第8回世界盆栽大会in さいたま メインデモンストレーター、(一社)日本水石協会理事、(一財)京都国際文化振興財団理事