すっとその場に溶け込み、重心のある色気を放つ。第９３回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞などに選ばれた『火口のふたり』や、第３１回日本映画批評家大賞主演女優賞ほかに輝く『由宇子の天秤』など、スクリーンに愛されてきた瀧内公美。このところはテレビドラマでも引っ張りだこ。年々輝きを増す瀧内さんのＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥとは――。【第３回／全３回】
「いまの私個人にとってのチェンジは異なる価値観と出合ったときです。“この考え方、面白いな”とか。特に今の自分にないものを持っている人に出会ったりすると、魅力的に感じますね。自分と同じ感覚の人や表現していて安心する人、息の合う人、波長が合うといいますか、そういう人は一緒に仕事をしていてもやはりいます。
それはそれで落ち着ける感じはありますが、真逆の人と出会ったときはすっごく考えます。“なんでだろう”と。その“考えること”は、自分を変えてくれる第一歩になる。今、そうした“面白さ”を求めている自分がいます。ある種の余裕が出てきたのかもしれません」
役や作品を振り返ると、自分は「同じところにいるタイプではない」とも語る。
「たとえば、『火口のふたり』※で濡れ場をやり切ったなと思ったら、もう気持ちが次に向いていますね。ありたがい評価をたくさんいただきましたから、類似した作品のオファーを立て続けにいただいた時期もありましたが、そこに甘えて同じようなことをやっていたら、“終わっちゃうだろうな”と思う。落ち着きたくないですし、自分がワクワクする面白さを求めています」
※２０１９年公開。荒井晴彦監督・脚本のＲ１８＋指定作品で出演者は柄本佑さんと瀧内さんふたりのみ。瀧内さんはキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞ほか同作にて多くの賞で評価を得た。
