出版業界に行く先輩は多かった
丸山「みんなそれなりに勉強はしていたので、最終的にどこかしらに転がり込めている印象はあったな。それこそ、この出版業界には多くて、出版社の校正・校閲部門に拾われたり、業界誌にポンと入ったりとか、そういう先輩はよく見ました」
宮田「今は就職を強く言われますよ。入学式のオリエンテーションで“就職活動はちゃんとしてください”ってハッキリ言われました。“本当に文学部の人たちは勉強に夢中で就活をしないから、今から考えておけ”みたいなことを……(笑)。キャリアアップの授業とかも、すっごい用意されていて圧の強い大学だなと思っていたんですが、そこにはそういう背景が……」
丸山「本当に申し訳ない。それは何十年にもかけて就職活動に向き合ってこなかった僕ら卒業生のせいかもしれないです(笑)。それに頭を抱えた大学側が、宮田さんの時代には“就職しろモード”になっていたんだと思います」
宮田「(笑)。でも、今でもその傾向は今もあるのかも。私の友人も就活を始めるのは遅かったですよ。大学4年生にもなって“就活どうしよう?”なんて言ってました」
丸山「じゃあ、文学部生のその気質はまだ健在なんだ(笑)。そういえば、宮田さんは、学生時代からアイドルとして働いていて、その後も小説家を通して活躍していますが、もともとそういう“表現者”の道を選ぼうと決めていたんですか? あるいは、どこかに就職しようという考えがよぎったりはしませんでした?」
宮田「いえいえ、むしろ、めちゃめちゃ就職したかったですよ。なんなら、今でも就職しなきゃって思ってます(笑)」
丸山「え? それは意外!!」
【第3回に続く】
宮田愛萌(みやた・まなも)
1998年4月28日生まれ、東京都出身。2023年アイドルグループ卒業時に上梓した『きらきらし』(新潮社)で小説家デビュー。現在は文筆家として小説・エッセイ・短歌などジャンルを問わず活躍。ほか、主な著書に『あやふやで、不確かな』(幻冬舎)、『春、出逢い』(講談社)、『おいしいはやさしい』(PHP研究所)、『わたしのをとめ』(短歌研究社)などがある。また、タレントとして、”本”に関するテーマでテレビ、トークショー、対談などに出演する。
丸山ゴンザレス(まるやま・ごんざれす)
1977年生まれ、宮城県出身。ジャーナリスト、作家、漫画原作者、編集者。國學院大學学術資料センター共同研究員。國學院大學大学院修了後、出版社勤務を経て独立。2005年『アジア『罰当たり』旅行』(彩図社)で作家デビュー。テレビ番組「クレイジージャーニー」(TBS系列)では、世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩く“危険地帯ジャーナリスト”として人気を博す。YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスのディープな世界」はチャンネル登録者数140万人超。近著に『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』(講談社)、『世界の危険思想~悪いやつらの頭の中~』(光文社)、『タバコの煙、旅の記憶』(産業編集センター)などがある。
『MASTERゴンザレスのクレイジー考古学 増補改訂版』
丸山ゴンザレス著
本体価格:750円(消費税別)
文庫・288ページ
TBS系列の旅番組『クレイジージャーニー』や、YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスのディープな世界」で大人気の裏社会ジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、その活動の原点とも言える考古学について、自身の半生を振り返りながら持論を展開する異色の旅エッセイ。さらに、これまでの取材を通じて見てきた「裏社会」と、学生時代に修士号を取得した「考古学」を融合させた「ハイブリッド考古学」の実証に挑む。2020年に出た単行本を加筆修正し、イラスト、写真、対談記事を加えた改訂完全版!