「真綿のなかで温められていた私が、病気を境にボーンとその真綿が外れてしまった」B型肝炎を発症し見えてきた世界
「デビュー当初こそ、東京の国立(くにたち)にある事務所の寮から現場まで電車で通ったりもしましたが、すぐに忙しくなったため、どこに行くにもタクシーで送迎してもらうようになりました。そればかりか、銀行に行ったり郵便を出したりすることさえ、人に任せっきりにしていたんです。
真綿のなかで温められていた私が、病気を境にボーンとその真綿が外れてしまったのだと。もちろんすごく心細かったですが、ひとりの人間として未熟だったことに気づけてよかったなと思います」
取材中、石川さんは病気や誰かを恨んだりするような言葉を口にしなかった。逆境すらも自分の糧(かて)にし、「もちろんいまは、買い物も移動もひとりでスイスイできるので、すごく自由ですし、快適ですよ」とにっこり笑った。
その静かな強さは、彼女が本来持っていたものかもしれないが、この一連の経験で、よりしなやかでたくましくなったことだろう。
「自宅療養中、少し回復してきたころにリハビリを兼ねて外出するようにしたんです。そんなあるとき、街中で私を見かけた女性たちが“握手してください”と集まってくれて。みなさんの求めに応じていたら、通りすがりの誰かが“この人、B型肝炎だよ。握手したら(病気が)うつるよ”と言ったんです」