トップとして意識した下級生との接し方…原点は自身が下級生の頃に感じていた思い
他組も含めて合計10人のスターが一斉に専科に移るという、前代未聞のサプライズの渦中で、何を思って舞台に立っていたのだろうか?
「専科に行って最初の主演舞台が雪組さんの『月夜歌聲』でした。“初めまして”でいきなり主演なんです。でも雪組の皆さんに温かく迎えていただき、組は違っても、作品に向かう気持ちは同じなんだと感じました。“宝塚は一つ”の安心感も大きかったです」
何十人もいる組に、1人で加わっていく。その過程でチームの一員になりつつ、自分の個性を活かすアプローチも会得した。
「月組さんの作品に出た時、ショーの演出の三木章雄先生に“遠慮してないか?”と言われたんです」
ダンスが得意な湖月さんらしく、ダンスシーンの核を任されていたが、知らず知らずのうちに縮こまっていたようだった。
「三木先生の“組に染まってるなら、専科から来てくれた意味がない。わたるのやり方で新しい風を入れてくれ”と。その一言で肩の力が抜けました。やっぱり同じ劇団の一員なので、組子さんには見ていて感じたことを素直に伝えていきました。楽しそうに踊っている子がいたら“ダンス好きなの?”と話しかけたり、ずっと歩く練習をしている子には“何か苦労してるの?”と話してみました」
それが専科を経て星組トップとなってからも、湖月さん流のコミュニケーション術となった。
「トップさんって、下級生から見るとすごく遠い存在で、私が若手の頃もそう思っていました。だから、彼女たちから話しかけづらいだろうなと思って、“自分から行こう”と。稽古場でたまたま横になった子にも声をかけていきました」
どんな立場、ポジションでも「夢の舞台を作る目標は同じです」という絆をいつも感じていた。それを胸に、明るく大らかなスター像を築いた18年間だった。
(つづく)