昭和・平成・令和と三つの時代にわたり、活躍を続ける江口洋介さん。俳優、そしてミュージシャンでもある、そのキャリアは華麗な作品に彩られている。この夏も、映画『開戦前夜』(2026年7月31日公開)で新しい表情を刻んだ江口さんが、第一線でTHE CHANGEし続けてこられた原動力とは──。何歳になってもカッコよく生きる、その生き方とマインドについて迫った。【第1回/全3回】

江口洋介 撮影/冨田望

 全身を黒で統一したスーツ姿で取材現場に現れると、「クレヨンしんちゃんの双葉社!いいね」と親しみやすい笑顔で撮影に応じてくれた。

185センチの長身で、気さくで完璧なジェントルマンぶりを見せてくれた江口さんが今作の映画『開戦前夜』で演じるのは、陸軍中佐の西村良穂。日米関係が緊迫するさなかに総力戦研究所を作った一員であり、研究所の若者と軍の主戦派、そして東條英機(佐藤浩市)の本音を理解している役どころで、冷静なエリート軍人でもある。

 総力戦研究所には軍民問わず若きエリートが集められ、宇治田洋一(池松壮亮)を筆頭にした模擬内閣のメンバーは、日本が全面戦争に突入した場合のシミュレーションから“日本必敗”の結論を導き出すが、なぜその思いは届かなかったのか──。後世への教訓を伝える社会派作品に、幅広い世代の実力派俳優が集結した。

「原案になった猪瀬直樹さんの著作(『昭和16年夏の敗戦』中央公論新社)についても以前から知っていて、さらに台本を読み進めていくと、改めて重要な役だということを認識しました。(模擬内閣で内閣総理大臣に指名される)池松くん演じる宇治田とも、秘密裏に接していきますから。ただ、西村は原案にない架空の人物で、そういったお話を石井監督からも聞いて、文献を読み進めました」