「高いレベルまで、時代の空気感を再現できた」映画『開戦前夜』で陸軍中佐の西村良穂役を演じている江口洋介
──軍人役も初めての経験かと思いますが、どのような役作りを?
「軍人らしい言葉遣いや立ち居振る舞いのレクチャーも受けました。それから髪を五分刈りに切ったんですが、それだけでは足りなくて。日本の軍人って、もみあげまでバッサリ刈るんですよ。ちょうどテクノカットみたいに。当時の写真も提供してもらったので、そこまで再現にこだわりましたし、この作品以降は、他の映画を見ても細部まで気になるようになりましたね。そうした高いレベルまで、時代の空気感を再現できたと思います」
──そして、このストーリーや歴史から江口さんはどんなことを感じ取りましたか。
「ことが進んでいくと、それ(戦争)をやめられなくなっていく空気の怖さは、演じる僕らにとっても、すごくリアルでした。佐藤さんの東條英機だって、独裁者というよりは、生真面目な男です。でもその真面目さがゆえに、一度動き出した空気が、彼を雁字搦め(がんじがらめ)にしていく。
西村は日本の限界を分かっていて、それを数字にして示すんだけど、戦争ができないと世の中に知られたときの怖さも、同時に熟知している。そう、矛盾を抱えているんですよね。集団意識はどの国でもあることだと思うんだけど、周りの空気に何も言えなくなってしまって、一歩間違えれば全員で間違った方に向かって走り出してしまう。 “頭の中ではわかっていても、止められない”、“なぜこうなったのか?”は、自分自身も考えさせられましたし、この作品が表現したいことこそがこの“空気感”とは何かっていうことだと思うんですよね」