「天皇の批判をすることがタブーとは思っていない」電通グループCEOにも影響を与えたジャーナリズム精神
──『朝生』では様々なタブーを取り上げてきたことで知られています。特に印象に残っているテーマはありますか?
「全て印象に残っているが、その当時、重篤だった昭和天皇について議論した時はギリギリを攻めた。だけど、僕は天皇の批判をすることがタブーとは思っていない。そこに天皇が存在しているのだから、時には批判の対象になるのは当たり前で、議論を封じてしまうことがよくない」
思えば、田原氏のキャリアがスタートしたのもテレビだった。開局と同時に東京12チャンネル(現テレビ東京)に入社。ディレクターをしていた時は放送コードギリギリの過激な番組を作り続け、不法侵入と威力業務妨害で2度逮捕されたこともある。タブーに斬り込む精神は、ジャーナリストとして70年やってきた基盤でもある。
──テレビにかぎらず活字でも、それまでタブーとされてきた原発や電通に切り込んだ著作がありますよね。
「僕は映像ジャーナリズムの出身だけれど、活字のジャーナリズムとして最初に選んだテーマが原子力問題だった。原子力船『むつ』の問題を端緒に、1976年に『原子力戦争』(筑摩書房)という本を出した。その取材過程で、メディアにとってもうひとつのタブーである電通に突き当たり、『電通』(朝日文庫)という本を書いたんだ。
この前、電通グループの取締役・社長グローバルCEOに佐野傑が就任したけど、彼は中学2年生の時に僕の本を読んで『絶対に電通に入りたい』と思ったそうだ。それを実現し、今年ついに社長になったのだから嬉しいね」