仕事で頭がいっぱいだった日々に生まれた“心のゆとり”と、見つけた「余白」の大切さ

 穏やかな笑みで語る桜井ユキは、23歳のときに俳優を目指して故郷・福岡から上京。以来、全力で駆け抜けて来たと振り返る。

「ずっと仕事のことで頭がいっぱいで、日常生活は二の次というか、とにかく仕事仕事仕事……という日々を送ってきたように思います」

 そんな彼女に、日常の大切さを気づかせてくれたのが、『しあわせは食べて寝て待て』だったという。

「この作品に登場する人たちはみんな、手間を惜しまない暮らしをしているんですよね。それがとても良いなあと思って、わたしも毎日の生活の中にひと手間加えるようになりました。どんなに忙しくても……忙しいからこそ、キッチンに立って一品作ったり、お茶をいれたりすると、『あ、今わたしの心にゆとりが生まれた』と思う瞬間があって」

 自分を労りながら丁寧に暮らしているさとこを演じることで、自分自身が癒やされていたのだという。

特集ドラマ『しあわせは食べて寝て待て〜早春の養生編〜』場面写真 ⒸNHK

「わたしは植物が好きで、自宅には小さいのから大きいのまでたくさんの鉢があるんですけど、少し前にその中のひとつが枯れかけていたんです。葉っぱがしおれてしまって。以前のわたしだったら『ごめんなさい』していたんですけど、ふと植え替えてみようと思ったんです」

 かわいい鉢を新調し、そっと植え替えて見守っていると……。

「新しい芽が出て、モリモリ元気になって、今はすっごく良い状態で茂っているんですよ! もうダメかと思っても、ちゃんと手をかけたら復活するんだって、感動しました」

 そして、もうひとつ気づいたのは、余白の大切さ。

「丁寧な暮らしって、余白がある暮らしのことなんじゃないかと思うようになりました。以前のわたしはちょっとでも隙間が空いたら、仕事をギュウギュウに詰め込んでいたんです。オフで家にいてもずっと仕事のことばかり考えていたけど、『今日は台本を開くのをやめておこう』とか『資料を読もうと思っていたけど、それはやめて岩盤浴に行ってみよう』とかいうことができるようになりました」

 それでも時々、余白をなくしていると感じることがある。

「そんなときは『ま、いいか』と言ってみるんです。大事ですよね、『ま、いいか』! そうやって余白を作ることで自分の中のオンオフが生まれるし、結果的に仕事にもいい影響を感じています」
 第2回では、遅咲きだった彼女が上京後に経験した挫折と、まとわりついていた“重い鎧”を剥がしてくれた恩師からの「衝撃的な言葉」を振り返る。

▪︎作品情報
特集ドラマ『しあわせは食べて寝て待て〜早春の養生編〜』
【NHK総合】2026年8月18日(火)夜10時〜11時12分
※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定

【原作】水凪トリ「しあわせは食べて寝て待て」
【脚本】澤井香織
【音楽】中島ノブユキ
【出演】桜井ユキ 宮沢氷魚 加賀まりこ 他
【演出】中野亮平
【制作統括】小松昌代(NHKエンタープライズ)、石澤かおる(NHK)

特集ドラマ『しあわせは食べて寝て待て〜早春の養生編〜』ⒸNHK