私自身は「終活」とか「自分探し」とか「アイデンティティ」というのが大嫌い
今回は私のアイデアもたくさん取り入れてもらいました。例えば、後半で実際にある飛木稲荷神社の大銀杏の下で、宿泊しているホテルの経営者・佳奈(菜葉菜)に自分の過去、大空襲の話をするシーンでは、「文は当時の6歳の頃に還るから、子供っぽい動きにしよう」って岩本崇穂監督と話して決めたんです。このシーンで文が『早春賦』を歌うんですけど、これも私のアイデア。なんでこのシーンを入れたかというと、私が歌いたかったから(笑)。それももちろんありますが、そうしたほうがより情感が伝わると思ったからなんです。ラストシーンで帰っていく文の後ろ姿も、最初は「着物で撮ろう」という話だったんですが、「それだと演歌歌手のプロモーション映像みたいじゃないですか(笑)」と言って、洋服に変えてもらったんです。
この映画は「終活」もひとつのテーマになっているんですけど、私自身は「終活」とか「自分探し」とか「アイデンティティ」というのが大嫌いなんですよ。今、71歳ですけど、楽しく生きられるのはあと10年、80歳までだと思っています。80歳を過ぎたら体のどこかしらが弱くなってくるだろうし。お芝居の役柄だって限られてくる。とはいえ、主演じゃなくて、婆さんの役だったら需要もあるだろうから、役者を続けていたいとは思っています。1年に1回とか、そんな感じでできるなら、積極的にやっていきたいですね。