作曲家になりたいという気持ちの方が圧倒的に強かった

 ミツイさんの証言で嘘つき容疑が晴れたぼくは、「よし、職業作曲家になろう」と心に決め、オリジナル曲を録音したカセットテープを持ってレコード会社をまわることにしました。中3の就活です。

 曲は、歌詞も一緒に浮かんだものは歌詞付きで歌っていたし、メロディだけのは、ハナモゲラ語だったり、まぁいろいろ。これは今も変わりません。

 でも曲の善し悪し以前に録音状態が悪すぎると突き返されて、最初の就活は失敗。仕方が無いので高校生をやっていたら、クラスメイトがユーミンさんの『コバルトアワー』というのを聞かせてくれて、気がつきました。

ーーそうか、自分自身を専属歌手にする、シンガーソングライターという手があったか!

 もちろん、ぼくは歌うことも大好きで、中学生の時はキャロルのコピーバンドをやったりしていました。でも、歌手になりたいというより、作曲家になりたいという気持ちの方が圧倒的に強かった。

 なぜなら、当時のぼくの頭の中にある作曲家は、葉山の豪邸に住んでクルーザーを乗り回しつつも、一般には顔を知られていないから自由な生活を送っているイメージ(笑)。一方、歌手……特にアイドル歌手は、トイレになんて行かないと思われているし、気軽に買い物にも行けない。デートなんて、もってのほか。だからぼくは、曲だけを有名にして、自分は表に出ない作曲家に憧れていたんです。