「私には普通の感覚が欠けていると思った」富田望生を変えた、“普通の生活”

──確かに、そうした状況は、焦るし落ち込みますね。

富田「当時はうらやましく思ったし、悔しかったですね……(笑)。だけどあるとき、一度立ち止まって、私には普通の感覚が欠けていると思ったんです。それに少し怖くなったりもして、“同級生がしてきた普通のことを、私もしてみよう”って、アルバイトを経験しました。私は学生時代からずっと芸能界にいたので、バイトをしたことがなかったんですけど、電車や自転車で職場に通って、朝から夕方まで“いらっしゃいませ!”って」

富田望生 撮影/有坂政晴

──もう俳優をされていた頃ですよね。どんなアルバイトをされていましたか?

富田「15歳でデビューして、バイトをしてみたのは22 歳のころだったかな。和菓子屋さんや知り合いの飲食店で。いままで経験してこなかった生活に身を置いてみることで、特別なことをちょっとうらやましく思っていた気持ちが、“私の役、私のお芝居には関係ないや”って、思えた瞬間で。なので、人生の目標とあえて違うことに挑戦してみるのもいいです」

齋藤「いまの望生ちゃんの話もそうですが、頭で考えることも大事だけど、実際に動いてみることが大切だなと思います。そして、ネガティブなものを受け止める気合いが必要。例えば、“アルバイトをする”って、早起きがしんどい日があるかもしれないし、接客できるテンションじゃないときもありますよね。でも、実際に行動したからこその、ネガティブな感情を経験することが大切なのかなと思います。だって、何かを選択して、決断して生きていくためには、ポジティブな感情だけでは難しいと思うから」