「テレビ番組で360度見られながら料理をするお仕事をさせていただいたことで…」

 川越スタイルで大切にしているものとは——。

「外面でいうと、所作は最低限、美しく。もっとも心がけているのは、見ている方に『慌てているな』と感じさせないこと。修業時代に教えていただいたことでもあるんですけど、きれいな、優雅な所作の先においしいものができる……というのは、ぼくの座右の銘です。とはいえ、『リアル3分クッキング』みたいな企画だと、心の中がドタバタすることはあります。そういうときも、できるだけ丁寧に、落ち着いて、優雅なフリをしております(笑)」

川越達也 撮影/三浦龍司

 川越シェフが、料理の所作に気を配るようになったのは、テレビ番組に出演していたことも大きかったという。

「僕は、料理をしている様子もお客さまに味わっていただきたいという思いから、店をオープンキッチンにしていましたが、テレビ番組で360度見られながら料理をするお仕事をさせていただいたことで、改めて所作の大切さを実感しました。たとえば、食材を切った後にクロスで包丁を拭くときもできるだけ美しく、とかね」

 では、内面……味については?

「基本的には、『旨けりゃいいじゃん』と思ってます(笑) もちろん、育った環境や年齢、生活スタイルはひとりひとり違うので、『旨い!』の感じ方は人それぞれです。
 でも、自分がご提供する料理は、『旨い』のストライクゾーンが広いと自負しています。プロとして。僕が目指すのは、食べた方が『どんなふうに作ったのかわからないけど、旨い!』と舌鼓を打ってくださる料理。それに勝るものは無いと思っています」

 さすがはプロの料理人。料理について語るその目は生き生きとしていた。

(つづく)

【書籍情報】
書名:今日も明日も「旨いパスタ」
著者:川越達也
定価:1870円(税込)
仕様:B5判、112ページ
発売日:2026年10月28日(水)
発行:株式会社主婦の友社
※電子書籍も同時発売