学級委員に選ばれて喜んだ母、人生を変えた『偉人殿』との出会い

 1学期はええとこの子が学級委員になるじゃない。3学期は日数も短いからみんな適当に選ぶでしょ。そうすると票数ががたんと落ちるんで、過半数じゃなくて4分の1ぐらい票を取ると学級委員になれる。その仕組みに気づくんですね。それでクラスの4分の1ぐらいを味方につけて私に投票してもらう。

 ずばり言うと、頭がいいフリがしたかったんですよ。それで学級委員の任命証を母ちゃんに見せるとめちゃくちゃ喜ぶんですね。そういうずる賢いディールを覚えた。
でもね、頭のいいふりするのはなかなか大変なんですよ。5年生のときは「石の名前」を覚えるのに必死でした。

「武田この石は何?」とか聞かれると「あ、花崗岩」とか。そういうこと言うとすごく頭がよさそうに見えるんです。石の名前を6個ぐらい覚えてると、なんとなくやりくりできる。遠足に行っても「この石、玄武岩じゃないかな」とかちょっと賢そうに言うと、「お前わかるとや」とか感心されて。

 そこで私は「ちょこっと暗記すると、人はこれほど簡単に驚くんだ」ということを知ったんですね。

 小学6年生になる頃に小学校の図書館で見つけたのが『偉人伝』。この本が私の人生を変える一冊になりました。

 分厚く、電話帳ぐらいの大きさで、東洋と西洋の偉人100人ずつぐらい、東西200人ぐらいの偉人たちの足跡が書かれた人名辞典。東洋編は1ページ目が「ブッダ」。西洋編は「イエス」。西洋編の終わりのほうに「アインシュタイン」が出てきて、東洋編では日本の「伊藤博文」あたりが出てくる。

 これを“知ったかぶりの鉄っちゃん”は、丸ごと一冊覚えちゃったのよ。異様な記憶力で。