宝塚歌劇団星組のトップスターとして、ダイナミックなダンスと包容力で一時代を築いた湖月わたるさん。劇団の変革期に活躍し、退団後も舞台人として確固たる道を歩む傍ら、新たな学びや挑戦を止めない。彼女の人生に起きてきたCHANGEを聞いた。【第2回/全2回】
「自分自身でも一番意外だったのが、ミュージカル『シカゴ』の経験でした。“英語の歌なんて一生歌わなくていい!”と思っていたのに(笑)」
2006年に退団後、俳優として歩み始めた湖月さんが挙げたCHANGEは、ブロードウェイの人気ミュージカル『シカゴ』との縁だった。2014年に上演の宝塚OGバージョンでヴェルマ・ケリーを演じると、翌年にはブロードウェイ版の来日公演でもスペシャル版舞台でヴェルマを、それも全編英語で演じた。
「外国人の友達もいないし、英語には苦手意識しかなくて。でも演じているうちに、いつか原曲で歌いたいという衝動が芽生えて練習を始めていました。だから来日公演のオーディションの話を聞いた時、迷わず手を挙げました」
『シカゴ』のダンスの特徴たるフォッシー・スタイルもマスターしたダンスには、アメリカのスタッフからも太鼓判をもらった。あとは言語の壁を乗り越えるだけだったが、その壁は高く、厚かった。
「劇中の長い台詞を練習した映像をアメリカへ送ったら、合格をいただきました。でもお芝居はただなぞるだけではだめで、通訳の伊藤美代子さんと一緒に特訓しました。目の前の一行をまず完璧にして、次に行こうという作戦を立てたんですが……」