一部メンズ地下アイドルは「ほぼ犯罪」 問題の根本にある「ファンが競い合ってしまう体制」
「推し活と宗教の近い面は、推しがそこにいるだけで、その場所がちょっと神聖になるところ。よく『聖地巡礼』と言ったりしますが、何もない場所なのに推しがいただけで神聖なものに変わったり、推しがそこにいるだけで祈るような気持ちになったりしますよね。
一方で、本当の宗教には継続性があり、お祭りなら『毎年ここでやっている』という伝統自体が宗教につながっていく。そうした歴史の連続性は推し活にはなく、ここは似て非なる面だと思います」
推しが神聖であることと対照的に、近年は推し活をめぐる“闇”も社会問題化している。特典のために大量のCDや一緒に撮影ができるチェキ券を購入したり、女性の場合は金策に体を売るケースも少なくない。ファン同士の競争によって課金や応援がエスカレートすることもあるが、三宅さんはこうした負の側面をどう捉えているのだろうか。
「一部のメンズ地下アイドルなどが未成年に不当な金額を使わせているのは、ほぼ犯罪ですし、普通に問題だと思っています。ただ、その団体やコミュニティが問題なだけであって、そういったものも全てひっくるめて“推し活ブームの不健全さ”として語られることも危ういと思うんです。
1番不健全なのはファンが競い合ってしまう体制で、根底にあるのは“推し活に伴う共同性”。個人で推し活をするのと、他人と競争しながらするのとでは違う気がします。行動がエスカレートしてしまう時って、『誰々よりも課金しているか』『自分の使い方じゃ課金が足りないのでは』となりがちですし、ファンの中で自分がどの位置にいるのかを考え出したりすると、すごくしんどくなってしまう。
もちろん、運営側からそういう競争を煽られている部分もあるのですが……。推し活にはみんなで同じ色のペンライトを振るとか、集団の一部になる楽しさは確実にある。ただそれが暴走することもあるので、周りを少し俯瞰して見られるだけでもより健全な推し活になると思います」
推したちとどう生きるか──。答えは人それぞれだからこそ、「推し」について改めて考えることが大切なのかもしれない。
(つづく)
■書籍情報
『推したちとどう生きるか』
著:三宅香帆
出版社:新潮社
定価:1034円
電子書籍価格:1034円
発売日:2026/07/17
電子書籍配信開始日:2026/07/17

