異変を感じた瞬間

 僕は大人になってからというもの、ずっと不摂生な生活を送ってきました。お酒が大好きで、休肝日はゼロ。若いころは毎日どこかの飲み屋に繰り出して……付き合いが多い時代でもあったしね。タバコも紙巻きをスパスパ。そんな毎日だから、多少喉が調子悪くても「酒のせいかな」「タバコのせいかな」としか思わない。

 ただ、後から振り返れば2年ぐらい、日常的に喉の痛みはありました。違和感の布石は他にもあって、ニオイ問題で、家で吸うタバコを紙から電子に変えた時のこと。なんだか喉に引っかかる。それでも、「電子タバコは合わないのかなあ、まあ、そのうち慣れるか」なんて呑気に構えていて、気休めに喉ケア用スプレーでシュッシュッとやる程度。全然効かなかったよ。効くわけがないんだけど(笑)。

 それが2023年の秋頃、ビールがとにかく喉に滲みるようになりました。大きい魚の骨が引っかかっているような違和感もある。でも、いずれにせよ我慢できないほどの痛みではないから、やっぱりほったらかしていたんです。でもある日、首を何気なく触ったときに、左に明らかに妙な膨らみがある。これにはさすがに「あれっ」と思いました。その時点で、リンパに転移していたというわけです。

 そのままバタバタと年を越し、やっと地元の耳鼻科に行ったのは24年の1月9日。すると、先生は「ちょっとウチでは……」と言うなり、大きな病院に行くようにと紹介状を書きはじめました。なんだろうと思いながら診察室を出たら、看護師さんが追いかけてきて、「多分癌だと思うんで」とあまりにもハッキリ言う。

見栄晴 撮影/河村正和