「アンビリーバブル!」キアヌのカウントダウンで東京の夜空が“ハッキング”された瞬間

 そして迎えたジャパンプレミアの夜。六本木ヒルズのイベント会場には、大勢のファンとマスコミが詰めかけ、熱気に包まれていました。その熱狂の中心に立ったのは、もちろん主演のキアヌ・リーブスさんです。

 イベントが最高潮に達したとき、キアヌさん自身の声でカウントダウンが始まりました。 「スリー、ツー、ワン……!」 彼の合図とともにスイッチが押されると、遠くに見える東京タワーのいつもの温かなオレンジ色の光がふっと消え、次の瞬間、鮮烈でサイバーなマトリックス・グリーンへと一気に染め上がりました。

 東京の夜空に緑色の巨大なタワーが浮かび上がった光景は、まさに圧巻でした。まるで映画の中の仮想現実(マトリックス)の世界が、現実の東京をハッキングしてしまったかのような錯覚に陥るほどでした。会場からは地鳴りのような大歓声が沸き起こり、メディアのフラッシュが夜空を眩しく照らしました。

 この常識外れの仕掛けに最も興奮していたのは、他でもないキアヌさん本人でした。 ふだんは物静かでクールな彼が、緑色に輝く東京タワーを見上げて目を輝かせ、「アンビリーバブル! 信じられない夜だ!」と少年のように声を弾ませて喜んでくれたのです。

  自分の主演作のために、日本の配給スタッフがこれほどまでに情熱を傾け、途方もない労力と予算をかけて現実の景色まで変えてしまった。その裏方たちの熱意と「泥臭い情熱」が、トップスターの心に真っ直ぐに届いた瞬間でした。