「400年後には古典に…」新作に挑む義務と、先人たちの魂を受け継ぐための焦燥感
──歌舞伎というと「格式高くて敷居が高い」というイメージを持つ人も多いが、本来は非常に柔軟なエンターテインメントなのだ。
「だからこそ、僕らが新作に挑み続けることは、これからも歌舞伎を多くの方に愛していただくための『義務』だと思っています。今、古典として崇められている演目も、初演の時はすべて“新作”だったわけです。『あらしのよるに』や『刀剣乱舞』など僕らが作った新作歌舞伎が、ひょっとしたら400年後の未来に“古典”として受け継がれているかもしれない……そんなロマンを抱きながら舞台を作るのは、役者としてこれ以上ない喜びです」
ジャンルを問わず無双状態の活躍を見せる松也さんだが、一方で以前、「歌舞伎に集中するべきではないかという焦りもある」と本音を吐露していた。
──その「焦り」とは、どういう感情なのだろうか。
「歌舞伎を上演し続ける上で、新作で間口を広げるのと同じくらい、先人たちがつないできた演出や演技の技法といった“古典の魂”を継承し、後輩へ伝えていく使命があります。古典の大役を演じる場合、同じ役を演じてこられた先輩に自ら直接お願いをして、マンツーマンで手取り足取り教えていただくのが歌舞伎のルールなんです。先輩方が血の滲むような思いで積み重ねてきた、いわば“一子相伝の機密事項”を、惜しげもなく教えてくださる。 これは映像を見て覚えられるようなものではありません。空気感や間合いを含め、面と向かって同じ空間で教えていただかないと絶対に伝わることはありません。僕が心から敬愛する先輩方から直接教えを乞うことができる時間が限られている。だからこそ、一つでも多くの役に挑戦して、先輩方から芸を吸収しなければならない。その焦燥感は常にあります」
──だからこそ、今、歌舞伎の舞台にしっかりと軸足を置いておかねばならないということか。
「はい。ありがたいことに、昨年からミュージカルなどの舞台が続き、歌舞伎の舞台から少し離れてしまっていた時期がありました。もちろん映像や他ジャンルのお仕事も全力でまっとうしつつ、その合間を縫って、歌舞伎俳優としての修行をもっと積まなければいけないと身が引き締まる思いです」
変化を恐れず、常に新しい自分へと“CHANGE”し続ける尾上松也。彼の演じる新時代の金田一耕助が、銀幕でどんな謎解きを見せてくれるのか。映画『八つ墓村』をお見逃しなく。
▪︎作品情報
映画『八つ墓村』
出演:尾上松也 奥 智哉 堀田真由 佐野岳 小野塚勇人 永瀬莉子 中村莟玉 笹野鈴々音 小籔千豊 中島亜梨沙 川瀬陽太 今野浩喜 渋川清彦 髙嶋政伸 高島礼子 滝藤賢一
原作:横溝正史「八つ墓村 金田一耕助ファイル1」(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:尾ヶ井慎太郎 清水崇
監督:清水崇
配給:松竹 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
Ⓒ2026「八つ墓村」製作委員会
ⒸYokomizo Seishi/KADOKAWA
2026年9月18日(金)全国ロードショー