「先生は、『でも、よかったじゃない』と…」

 さすがにまさか過ぎると思って、「これはあばら骨の変形かおできだろう」と勝手に解釈して、その日は「お疲れ様でした~」と何でもない顔で帰りました。でも家でもう1回調べてみたら、やっぱり“種”がある。一晩寝たらなくなってるに違いないと思ったけど、朝起きてもやっぱりある。そりゃ、ありますよね(笑)。

 すぐに番組でお世話になった乳腺外科医の土井卓子先生に連絡して、細かい検査の結果、がんであることが確定しました。嬉しくない話ですが、先生は、「でも、よかったじゃない」と言うんです。番組に出たから早期発見ができて、ステージ1だった。しかも、がんがある箇所が“いい場所”で、手術が簡単だと。

山田邦子 撮影/河村正和

 あまりに何度も先生が「よかった」と言うから、私も「よかった……のか?」と励まされましたね。がんは経過観察を含めて長く治療する病気なので、先生との相性が絶対に大切です。土井先生は常に明快で、前を向かせてくれる。私はそんな先生が好きでした。

 その後の検査で右側にもう1個、左側の下にも1個がんが見つかり、大きい病院へ移りました。

 治療法の選択肢として、私はいつも「先生の考える最高と最低を教えてください」と聞いていて、手術には「温存」か「全摘」かがあると言われました。私は両胸に乳がんがあったし、面倒だからさっぱり全部切ってください、命の方が大切なのでと言ったんです。

 すると先生はしばらく考えて「あるものがあるところにあるのは正しいことなので、温存で問題ないと思いますよ」と言う。「自信ありますか?」と訊いたら、「まぁ」って。「まぁ」じゃ困るんだけど(笑)。