そのときは「私は女になれる」と思っていた
19歳のときに性別適合手術を受けましたけど、現在も性別と名前は変えていません。「冗談酒場」で働いていた時代に、ダンサーの男の子に恋して、お付き合いしたことがあったんです。このとき、お店のお姉さんに「あんたはね、女にはなれないのよ、錯覚したらあかんよ」って言われました。そのときは「私は女になれる」と思っていたんです。でも、先輩のお姉さんの中にはダンサーの男の人に恋したけど捨てられて、その後に転落人生を歩んだ人も現実にいたから、「あかんよ」って言葉は、実は「強く生きなさいよ」っていう意味だったんだって後で気づくんですけど、この言葉は私の中ではすごく大きいです。
戸籍を変えて女性になったものの、周りが女として扱ってくれなかったら苦しむと思うんです。それよりは男性のままで女の姿になって、女性として扱われることのほうがすごく楽しい。学生の頃は、女性になったらすべてうまく行くのにって思っていたけど、実際に手術をしても、そんなことはなくて。
やっぱり人って生き続けている間は、人間関係とか金銭とかいろんな問題がずっと付きまとってくるんですよね。かつての私は、そうした問題を性別のせいにして生きてきたけど、全然違うんだ、もっと人間としての心を養いなさいってこと。そのことをお姉さんは教えてくれたんだと思います。