もう一度生まれるならニューハーフで生まれたい
自分の人生って一度しかないと思っているので、今は親に感謝しています。この人生は良かったなって最近は思うことが多いです。初めは女の子に生まれたかったけど、ニューハーフだからこそ出逢えた人がいて、見られた景色があったんですね。だから、もしもう一度生まれるならニューハーフで生まれたいぐらい今は幸せです。大西賢治として生きてきた過去は、やっぱり自分の根っこにはありますね。実家に帰ったら、大西賢治に戻っているかなっていうくらい素でいられるので。
そんな私が、今度『となりのとらんす少女ちゃん』という映画に出演させてもらいました。演じるのはトランスジェンダーとして悩む中2男子の母親役。実は母親役って一番やりたかった役なんです。だってこういうときじゃないと、母親になんて絶対なれないじゃないですか。見た目も母親らしい、少しぽっちゃりした体を目指しまして、ちょっと太りました(笑)。
それと自分でいうのもナンだけど、お肌がきれい過ぎるから(笑)、母親には見えないということで、メイクさんに生活感のあるシミを描いてもらいました。頭髪の地毛も分け目の部分はちょっと白く塗りました。映画の舞台が大阪で、セリフが大阪弁だったというのも、大阪生まれの私にとっては演じやすかったと思います。息子を怒るシーンがあったんですけど、男に戻るくらいで演じたほうが良いのかなって考えて、リハーサルでは「くぉら〜」って父親みたいな感じで言ったんですけど、やり過ぎた感があったので、本番では抑えました(笑)。
ちょっとおこがましいですが、もし今回のお芝居で何か賞をいただけるとしたら「女優賞」だと嬉しいですね。今の時代は「男優賞」「女優賞」というカテゴリーがなく、一律に「俳優賞」になってますけど、やっぱり子供の頃から映画を観て育って来た身としては、「女優」という響きや、役の幅に憧れがあるんです。
はるな愛(はるな・あい)
大阪府出身。高校中退後、大阪・心斎橋にあるニューハーフのショーパブ「冗談酒場」に勤務。1995年、性別適合手術を受ける。98年上京。2007年、松浦亜弥の口パクものまね「エアあやや」で大ブレイク。以後テレビ番組などに多数 出演。2008年にはCDデビューを果たし、「ミス・インターナショナルクイーン2009」では世界第1位となる。2021年8月に開催された「東京2020パラリンピック」開会式ではパフォーマーとしてトップバッターを飾り、「EXPO2025大阪・関西万博」ではスペシャルサポーターを務めた。自身の半生を描いたNetflix映画『This is I』が配信中。タレント、歌手活動の他、実業家としても活躍中。また、被災地支援や「子ども食堂」などのボランティアにも力を入れている。
映画『となりのとらんす少女ちゃん』
「自分らしい生き方」を模索する中学生を描く下町人情コメディ。整体師として働くシングルマザー・棚木ケイコ(はるな)の息子で中学2年生のユウタ(髙橋蒼太)の元に、ある日突然ユウカ(中川未悠)と名乗る女性が現れる。ユウカは10年後の未来からやって来たユウタ自身だとユウタに告げるが……。
原作:とら少
脚本・監督:東海林 毅
配給:ミカタ・エンタテインメント
11月7日(土)より新宿K's cinemaほかにて全国順次公開
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