「かつては、学生時代のアルバムを見返すみたいな感じで、自分の作品を振り返るのはすごく恥ずかしかったんです」
原田さんのキャリアの中で、松任谷由実さんの存在は欠かせない。『私をスキーに連れてって』では、主題歌のほか挿入歌もユーミンの楽曲がふんだんに盛り込まれている。そもそも原田さんが一躍脚光を浴びた映画『時をかける少女』の同名主題歌も、松任谷由実さんが手がけたものだ。
「ユーミンさんの楽曲は、姉と長崎に居たころからよく聴いていたので、特に荒井由実時代の作品は今でも口ずさむくらい大好きです。そんなユーミンさんに初めてお会いしたときは、人生で一番緊張したんじゃないかと思うくらい緊張しました。
ただ、スタジオにいらっしゃったユーミンさんは、とっても気さくで優しい方でしたし、都会的ですごく洗練されたすてきな女性だな……と子供ながらに思いました。その後もお会いする機会に恵まれましたが、ユーモアもあって温かい方なんだろうなと思います。それでいて、挑戦し続けるバイタリティを持っていらっしゃいます。日本の音楽界のレジェンドとして、いつでもすごいエネルギーを感じる方だなと思います」
過去の自分と対面するのは気恥ずかしさがあったと振り返る原田さん。『恋愛小説5~my white days』に選りすぐられた名曲は、原田さんのエフォートレスな魅力にあふれた歌声によって、新しい命を宿したように感じた。
「かつては、学生時代のアルバムを見返すみたいな感じで、自分の作品を振り返るのはすごく恥ずかしかったんです。ふふふ(笑)。でも、前回お話ししたように鈴木慶一さんとの出会いなどから、歌に関して意識が変わり、自分なりにいろいろと研究したり、『自分のいいところはどこだろう』と客観的に聴けるようになっていきました。
今回のアルバムでは、くるりの岸田繁さんや桑田佳祐さん、奥田民生さんなど、男性ボーカルの曲が結構多いのですが、カバーってそういうところが面白かったり、魅力になったりするのかなと思うんです。年齢とともに歌い方や歌声は変化しますし、技術的にまだ学べることがあると思ったり、もっとそぎ落とした方が心を打つものになるんじゃないかと考えたりもしますね。あれこれ考えたり自分の声について研究するのは好きですし、そうすることで『まだまだ伸びしろがあるな』って思えるんです」