「これだけでも、小説を書いた意味があったと思います」
紅葉を苦しめてきた「母に似ていない」という思いは、母親が生涯取り組んだ“小説を書く“という行為によって変化が訪れた。
「書くスピードが速くて万年筆じゃ追いつかないこと。プロットを作らずにいきなり書くから、最終的にまとめる作業が大変なこと。母との共通点がいくつも見つかりました」
編集者から「お母さまも執筆されるのが速かったけど、紅葉さんも原稿が速いですね」と言われたことも嬉しかったと笑顔を見せる。
「とにかく『お母さまに似てる』と言われると私が喜ぶものだから、編集者も連発するようになっちゃって(笑)。でも『読みやすい文章が、お母さまと同じですね』と言われたら頬が緩むし、『雰囲気が似てこられましたね』なんて言われようものなら、もう有頂天(笑)。これだけでも、小説を書いた意味があったと思います」