それでもうまくいかないときは──。回り道が思いもよらない景色を見せてくれることも
そうすることで、頭の中を整理することができたし、自分は確実に前に進んでいるのだと思えたという。
「もし、因数分解しないで手当たり次第にやっていたら、不安でたまらなかったと思うんです。それが、“今日は因数分解した中の一歩目で、いまできる最大限のことだ”ってわかっていれば、焦らずにリラックスして、目の前のことに取り組むことができますね」
それでも、なかなか結果に結びつかないこともあるはずで、そんなときはどうやって乗り越えたのだろう。
「もちろん、なかなか結果に結びつかないことだらけです(笑)。だけど、必要だと思うことを一生懸命に頑張ったり、工夫したりする時間はものすごく貴重だし、それが思いも寄らないことを運んできてくれることも。私の場合は、“コスメブランドをやりませんか?”と声をかけていただいたこともそのひとつだし、“エッセイを書きませんか?”というお誘いから書籍が生まれ、私の“自分を好きになってほしい”という大きな目標に、ヘアメイクとはまた別のお仕事でできたことは、嬉しいサプライズです」
数学の因数分解では思わぬ答えは出ないけれど、目標に向かうための因数分解は、予想を超えたものが生まれることがある。
「理想みたいなものをピンポイントで掲げると、うまくいかなかったときに“かなわなかった感”に押しつぶされたり、それまでのプロセスで起きる想定外の出来事を、受け入れるかどうか迷ってしまうかもしれないから、私は夢や理想をおおらかに考えています。大きく、理想に向かっていればいい、と」