「自分の欠陥や傷口に貼る、絆創膏のようなもの」その思いが筆を走らせてきた

──文字でつづる表現は、酒井さんにとってどんな意味がありますか。

「自分の欠陥や傷口に貼る、絆創膏のようなものだなと思っています。生身の体や気持ちだからって、そのままさらけ出していいものではないと思うんです。人に届けるからには、それなりに綺麗(きれい)な言葉を選んだり、優しい言葉でラッピングしてお渡しするのが礼儀で、おもてなしなんだと思っています」

──それが酒井さんなりの心遣いなんですね。

「私も波瀾万丈な人生を送ってきて……。例えば、これまで付き合ってきた持病もいくつかありますが、“こんなにつらくて痛いんです”って、赤裸々に不幸をさらすのは簡単です。でもそれで安心できる人ってそんなにいないと思うから、“こうすれば痛みは消えるよね”って、痛みや悲しみの先にある立ち上がり方を、一緒に伝えた方がいいですよね。だから、生々しい傷は隠しつつ、皆さんのことをケアしたくて書いてきました」

 何もかもさらけ出すのではなく、人を癒やせる綺麗なメッセージとして伝えたいのが酒井さんのこだわりだ。

■書籍情報
酒井若菜 写真集『ぴこぴこ。』発売中
著者:酒井若菜
撮影:佐内正史
発行:講談社
価格:3,960円(税込)