文芸評論家として数多くの著書を発表、テレビや各メディアに活躍の場を広げ、昨年は『NHK紅白歌合戦』の審査員を務めるなど、いま最も注目される文化人の1人である三宅香帆さん。7月17日に発売された最新刊『推したちとどう生きるか』(新潮新書)では、アイドルやVTuberなどを「推す」という行為を、歴史や社会、文化の変化から読み解いている。「推し」はなぜこれほど私たちの日常に入り込む存在になったのか。そして、好きなものと長く付き合っていくためには何が必要なのか。人生の転機とともに聞いた。【第2回/全3回】

三宅香帆 撮影/三浦龍司

「女性アイドルが好きですし、宝塚も好きですね」自らの推し活について話すとき、三宅さんの表情には、それまで以上に笑顔が浮かんだ。大学院生時代、将来の進路に迷っていた三宅さんを励ましたのもアイドルだったという。

「AKBグループや坂道グループはずっと見ています。悩んでいた時にAKBの総選挙を見ていたら、アイドルもどうなるか分からない中で頑張っているんだなとしみじみ思ったんですよね」

 中でも好きだったというのが、元SKE48の松井玲奈さん。その存在は、現在の活動にもつながっているという。

「松井さんは自分の感情をブログにたくさん書く方だったんですが、その姿を見て、『人に分かってもらうには、ここまでしなきゃいけないんだ』と感動したことをよく覚えています。松井さんをはじめ、指原莉乃さんや宮脇咲良さんなど、当時ブログを通して思いを伝えるアイドルが話題になっていたんですよね。その影響が今の自分の宣伝活動にもつながっている気がします」

 推しから力を借り、執筆活動で数々の功績を上げる三宅さん。その転機=CHANGEは大学院生の頃にさかのぼる。