「3時間、ものすっごい膨大な量のセリフをしゃべり続ける」71歳で挑んだ舞台での大きな転機

 これまでの人生の転機を挙げるとしたら、お笑い、ボクシング、絵や書、ヨガ、そしてもう一つ大きかったのが、今年4月に名探偵ポアロを演じた舞台『ブラック・コーヒー』です。アガサ・クリスティの戯曲で、3時間、ものすっごい膨大な量のセリフをしゃべり続ける。誰も手をつけたがらないような難しいことに取り組みましたが、やり終えた前と後とでは、芝居に対する心構えがガラッと変わりました。

 8月28日に公開となる映画『時には懺悔を』では、事件の捜査に協力する探偵の一人、舟尾という役をいただきました。中島哲也監督とは初めての仕事でしたが、「この役はぜひとも鶴太郎さんに」と声をかけていただいたんです。監督が私の何を見てくれたのかは、正直よく分かっていないのですが(笑)、光栄な気持ちで、とにかく監督にお任せしようと現場に入りました。

 舟尾には他の探偵たちと違って、孫と一緒にいる場面で素の顔をチラッと感じさせるシーンがあります。仕事モードになると探偵の顔に戻っていくのですが、そのギャップにも、自分らしさ、下町の人間っぽいところを出せたらと、下町っぽい話し言葉を入れさせてもらいました。

 それから探偵たちが集まって会議をしている場面では、「刑事ドラマにありがちな、机を並べての硬い雰囲気にはしたくない」と監督が言って、お茶を飲みながらしゃべっているような芝居を求めてきたことがありました。私も長年、刑事ドラマなどをやってきましたが、なるほどこれが監督の言うリアリティかと納得しました。

 出来上がった作品を観たときも、やっぱりさすがに面白かった。日常をふっと切り取っていくような演出があちこちにあって、それが撮影していても面白かった理由なんだなと、改めて思いましたね。

片岡鶴太郎(かたおか・つるたろう)
1954年、東京都生まれ。本名は荻野繁雄(おぎの・しげお)。高校卒業後、1973年に声帯模写の片岡鶴八師匠に弟子入りし、演芸場などの舞台などに出演。その後、24歳のときに『お笑い大集合』(フジテレビ系)に出演し、実質的に芸能界デビュー。その後はお笑いタレントとして『オレたちひょうきん族』や『笑っていいとも!』(いずれもフジテレビ系)などで活躍し、人気を博す。後に活躍の場を俳優業に移すと同時に、1988年にはボクシングのプロライセンスを取得。また、水墨画や書道にも挑戦し、数々の展覧会で受賞するなど芸術家としての顔も持つ。2017年にはヨガの実践家として、インド政府公認「プロフェッショナルヨガ検定・インストラクター(レベル1)」の資格も取得した。

片岡鶴太郎さんが出演する映画『時には懺悔を』は8月28日(金)全国公開
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026映画「時には懺悔を」製作委員会