「子供を産むこともできない、長生きできそうにもないみたい。私の人生なんだったんだろう」

 不妊治療を休止して、告知から1か月後には右胸がなくなりました。でも抗がん剤がやっと終わって、少しずつ日常生活が送れるようになってきたら、3年後に全摘した部分が局所再発です。あんなに治療頑張ったのに、再発するはずなかったのにって、本当にがっかりしましたね。子供を産むこともできない、長生きできそうにもないみたい。私の人生なんだったんだろうって。

 そういう時、道しるべになったのはがんサバイバーの先輩たちの姿でした。自分の祖母は40歳で乳がんになったけど、90歳まで生きましたとか、放射線治療なんて“日サロ(日焼けサロン)”みたいなものだよとか、私は乳がんになって絶望ポイントばかり浮かんでたけど、ポジティブな言葉をくれる人たちがいっぱいいる。救われました。ただ逆に怪しいことを教えてくれる人もいて、1億年前の水を勧められたこともあります。本当に!?って(笑)。私は標準治療一択です。

 抗がん剤治療が終わりそうな時、夫が旅行に連れていってくれました。まだまだ副作用でハゲ散らかしてたけど、ホテルのプールに入りたくなって、キャップをかぶってゴーグルをつけたら髪や眉毛がないなんてわかんないし、水着の胸にはボディータオルを丸めて入れたらいい感じ。

 そうそう、私は乳房の同時再建はしていないんです。欲しくなったら再建すればいいかなと思って後回しにしたのですが、案外人間慣れるもので、全摘した右胸の部分はペタンコのまま。今はミニタオルをたたんで入れていて、夫がハンカチを忘れたなんていう時に、本当の“胸ポケット”から、「あたためておきました」なんて差し出します(笑)。

だいたひかる 撮影/河村正和