デ・ニーロに衝撃「だったら俺は本物のプロボクサーになってやろう」

 先週までの私への反応とはまるで違う。「マッチ〜!」との声援。楽屋に戻ると横澤さんが飛んできて「鶴ちゃん、来たよ、これは絶対、逃しちゃダメだ!」って。ああ、売れるっていうのはこういうことなのかと。シンデレラボーイってやつを実感した瞬間でした。

『ひょうきん族』が5年続いて、MCの番組も7、8本抱えるようになりましたが、本当にやりたかったのは芝居でした。そんなとき、『男女7人夏物語』で大沢貞九郎という役をもらって、やっと役者としての道が開けてきたんです。

 そのために頑張ってきましたからね。「やっと来たか」と。ただ、当時の自分はまだ、ぽちゃっとしていてね。この体、この顔は“バラエティの顔”だ。1年もすれば飽きられてしまう。喜怒哀楽をちゃんと表現できる役者として長くやっていくには、肉体改造、顔面改造しなくちゃ立ち行かないと思いました。

 ちょうどその頃、ロバート・デ・ニーロの映画『レイジング・ブル』を観ました。デ・ニーロは現役ボクサー時代のバリバリの肉体を作った後、半年かけて太らせて、引退後の姿までを演じています。本当の俳優っていうのは、ここまで肉体を作り変えるのかと衝撃を受けました。「だったら俺は、デ・ニーロにできないこと、本物のプロボクサーになってやろう」と思いました。

つづく

片岡鶴太郎(かたおか・つるたろう)
1954年、東京都生まれ。本名は荻野繁雄(おぎの・しげお)。高校卒業後、1973年に声帯模写の片岡鶴八師匠に弟子入りし、演芸場などの舞台などに出演。その後、24歳のときに『お笑い大集合』(フジテレビ系)に出演し、実質的に芸能界デビュー。その後はお笑いタレントとして『オレたちひょうきん族』や『笑っていいとも!』(いずれもフジテレビ系)などで活躍し、人気を博す。後に活躍の場を俳優業に移すと同時に、1988年にはボクシングのプロライセンスを取得。また、水墨画や書道にも挑戦し、数々の展覧会で受賞するなど芸術家としての顔も持つ。2017年にはヨガの実践家として、インド政府公認「プロフェッショナルヨガ検定・インストラクター(レベル1)」の資格も取得した。

片岡鶴太郎さんが出演する映画『時には懺悔を』は8月28日(金)全国公開
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026映画「時には懺悔を」製作委員会