1972年のデビュー以来、半世紀以上にわたり『北斗の拳』や『サンクチュアリ』など数々の名作を世に送り出してきた漫画原作者・武論尊さん。本連載ではこれまで5回にわたり、79歳を迎えた今も尽きない巨匠の「俗っぽい欲」や、『タッチ』あだち充さん、『名探偵コナン』青山剛昌さんらトップランナーとの豪華な講義の舞台裏、そして恩師の教えについて紐解いてきた。
連載の締めくくりとなる第6回(総集編)では、武論尊さんが私財を投じて「武論尊100時間漫画塾」を開講し、熱狂の渦を巻き起こしている舞台・長野県佐久市にフォーカスする。巨匠が愛し、次世代の才能が羽ばたく「佐久」という街の奥深い魅力とともに、これまでの軌跡を振り返る。
豪華トップランナーが集結! 地方と出版界をつなぐ「さくまんが舎」の熱気
同級生からの「町おこし」の誘いをきっかけに、2024年に設立された「さくまんが舎」。当初は「3年で終わる」と考えていた武論尊さんの予想を裏切り、38歳未経験からのプロデビューをはじめ、これまで30名以上の塾生が商業誌デビューを果たすなど、地方の若者と出版界をつなぐ太いパイプとして機能している。
あだち充さんや青山剛昌さんといった超一流のクリエイターたちが実際に佐久の地に足を運び、「漫画に正解はない」「徹底して妄想と空想で作る」と直接語りかける環境。メールだけで完結しがちな現代において、人と人が直接ぶつかり合い、熱気を帯びるこの場所は、夢を追う若者たちにとって間違いなく「プロへの扉」となっている。
浅間山と千曲川に抱かれた健康長寿の街…武論尊が愛する「佐久市」の魅力とは
そんな熱狂の舞台となっている長野県佐久市は、どのような街なのだろうか。東京から北陸新幹線でわずか1時間強(佐久平駅)という抜群のアクセスの良さを誇りながら、豊かな自然と歴史が息づく高原都市である。
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【星降る街と、宇宙に一番近いアンテナ】 全国トップクラスの晴天率を誇る佐久市は、夜になれば息を呑むような美しい星空が広がる。市内にはJAXAの「臼田宇宙空間観測所」があり、直径54mという日本一の巨大なパラボラアンテナが宇宙の彼方を見つめている。ロマンとスケールの大きさを感じられる街だ。
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【「佐久鯉」と銘酒「SAKU13」が彩る食文化】 千曲川の清冽な冷たい水でじっくり育った名物「佐久鯉」は、古くから江戸幕府にも献上された全国的なブランド。泥臭さがなく、身が引き締まった極上の味わいだ。また、連載第4回でも触れた通り、市内外の13の酒蔵が結束した「SAKU13」など、美味しい日本酒と豊かな食文化の宝庫でもある。
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【日本に2つしかない星形要塞と「ぴんぴんころり」】 幕末に建てられた「龍岡城五稜郭」は、北海道の函館五稜郭と並び、日本に2つしかない貴重な星形要塞。歴史ロマンがあふれる一方、佐久市は健康で長生きし、寝込まずに大往生を遂げる「ぴんぴんころり(PPK)」運動発祥の地としても知られ、長寿県・長野の中でも非常に健康意識の高い地域として全国から注目を集めている。
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のどかな佐久の風景 撮影/有坂政晴