多感な時期には、自分の心の声を詩にしたためるように

 その頃から、詩など言葉を書き始めたという。

「詩など、言葉を書き出すようにもなりました。まあ……いま思うと恥ずかしい、よくある“中二病”みたいなやつです。思春期の通過儀礼ですよね。なんというか自分の心の内と向き合うために、必要な時期だったのかなと。それと、当時は“生と死”、中でも“死”に、とても敏感だったと思います。いまよりも、ずっとずっといろいろなことを考えていたような気がします。懐かしいですね」

 当時を思い出し、柔らかくほほ笑んだ坂本さん。

 来年デビュー30年を迎える坂本美雨さんが、約5年ぶりとなるアルバム『Something True』をリリースした。奥深くも心癒やされる作品になぜ、このタイトルを冠したのかを尋ねた。

「先ほどお話した、“正義はいっぱいある”ではないですが、自分がTruth(真実)だと思ってきたことが全然通用しない、そうだと信じていた世界が全然違っていたことを、この数年で思い知らされました。“人を殺してはいけない”、“差別はない方がいい”……、ましてや虐殺なんて、自分が生きる時代に起きるはずがないと思っていましたが、現実はそうではありません。
 しかも、それを何年も止められないという社会システムの不条理さに、多くの人が気付いたと思いますが、その一方で、そうしたシステムとつながっていたりするんです。例えば、購入した品やサービスを提供する企業が、虐殺に間接的にでも関わっていたとしたら、自分のお金が誰かの命を奪う資金になってしまうかもしれません」